2014年12月29日

「歯がときどき痛いんです」 の話

山本歯科医院 院長の山本です。

ブログでは 診療のことはあまり書いてこなかったんですけど タイトルに書いたような患者さんが最近多くなってますので これを読んでご参考にしていただければと思い、少しお話ししようと思います。
(※ただし ここに記載する内容がすべて 「あなたのこと」というわけではないので 正確には歯科医院でのレントゲン等の診査・診断が必要になることは言うまでもないことです)

例えば

「いつもじゃないんですけど右上の歯がときどき痛くなることがあるんです。それで前の歯医者に行って診てもらったんですけど レントゲン撮っても別におかしくないから様子みなさい、ということ何もしてくれないままで終わっているんです。けれど やはり心配なので診てください」

「普段は何でもないんですけど 食事していると ときどき激痛が来ることがあるんです。でもしばらくすると痛みも消えてまた元にもどるんだけど 虫歯でもできてるんじゃないかな」

「4か月前に別の歯医者で入れてもらった白い歯のわきの歯肉が腫れていて ずっと治らないんです。そこでは膿をとってもらったりしてるんですけど また出てくるんで思い切って相談に来ました」

「半年前に作ったブリッジの歯がまた腫れてきたんだけど・・・」

というような不具合を感じて 来院される方にいつでも言える問題点があります。

1.噛み方のバランスの悪さ(頑固な噛み癖)

 と 

2.歯を噛みしめているのに そのことを自覚していない(TCH)

かつては患者さんの言葉にあるように 当惑した?歯科医師からは様子をみなさい、と匙を投げらて突き放されて終わりになるか あるいはアグレッシブな歯医者に当たれば意味のない歯を削る治療をさせられるか のどちらかしかなかったでしょう。
でも
もし上記のような症状を訴えの方々が もっと歯のダメージが進むとどうなるんでしょう?
昔 私はこんな患者さんに出会いました。

その方は 「食べものを噛む度に激痛がする」と言って来院されました。そこでレントゲンを撮影して歯の根の状態を見てみることにしました。すると なんと歯の根が顎骨の中で真っ二つに割れて まるでワリバシを使うときのように 割って裂けているような状態になっていました。・・・でも割れている歯は1本なんです。だからその歯以外で噛めばそんなに痛いはずがないのに?と思い 念のため 歯科治療で使用するロール綿をその方のお口に入れて 「これを普段のように噛んでみてください」というと 驚くことに まさに レントゲンで真っ二つになっている歯で噛もうとするではありませんか!

そりゃ痛いだろう と思うわけです。

勿論 割れた歯は抜歯になってしまうことがほとんどですが それはともかく。 

何故 わざわざ そのまさに痛い歯で噛もうとするのか です。実は私たちは決まって噛んでいるところがあって そこで噛むことが習慣になってしまっているのです。これは 右だったり左だったり 個人で違いますが 食事で噛もうとすると自然にそこで噛むところが一般の人には必ず存在します。

症状がないうちは それはそれでもいいんですけど 50代後半以降 やや 高齢になってくると 歯も脆くなってきているので 積年の歯に蓄積した「疲労」がある日 さっきの方のように歯根破折という形で 悲劇が突然起こるようになります。そして割れてしまえば もう歯科医師にできることはほとんど残されていません。消炎したあとで抜歯の準備を 私はふつう考えます。
これは問題点の1です。

次に問題点の2です。これを理解するのは少し厄介かもしれません。夜間の歯軋りとの関連もありますが 昼間の歯の接触です。一般の方は 歯って噛みしめているんじゃないんですか? というふうにおっしゃる方がいますけど 最近の研究では 歯を例え弱い力であっても 噛んでいる あるいは 上下の奥歯を合わせている だけで 顎が痛み(顎関節症) 歯の歯周病が進行し 根の病気が再発し あるとき歯が割れる ・・・等々の悪い結果を起こすということがわかってきました。
実際に 東京医科歯科大学の顎関節治療部という診療科では 訪れる患者さんたちに 「歯を離す」と20枚の紙に書いて 全部の部屋に貼っておきなさい という冗談みたいな処方(これが治療の処方です!)をしています。この治療の紹介はNHKの「ためしてガッテン」でもTCH(歯牙接触癖)として取り上げられました。

みなさんもお部屋に 紙を貼ってみるのは如何でしょう。

私の診療ではさらにブラキシズム(歯軋り)のチェックもします。女性で夜間 ギリギリ音を立てている方はそんなに多くないですし 一般の方の思ってる歯軋りとわたしが考えてる歯軋りは少し違います。

ときどき私の問診中 歯軋りなんてしてません!と言って怒る中年の女性 見かけますが アーア そんなの血圧や血糖値のデータみたいなことなのに 何 見栄張ってるんだろ と思うこともありますが・・・。

歯は失ってみると結構 不便なことに気付きます。しかし 噛む力 直接的には 私たちの両側の頬に付いている咬筋のパワーと歯の強さのバランスが悪いとどんどん歯は抜けていきます。これからはバランスを改善する治療にも注目する時代となるでしょう。



posted by 達さん at 17:27| Comment(0) | Blog | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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