2015年05月31日

ブラックマージン と 色合わせ(シェード)のはなし

山本歯科医院 院長の山本です。

最近の患者さんの中には、ご自分の受けようと思う治療法を予めよく研究されていらっしゃることが多く こちらが話す前に患者さんの方がわかっているケースでは、私からあまり説明を加えなくて済むので 「楽だ」 と感じる瞬間がときどきあります。

そうした問題点で近頃 多いのが 「ブラックマージン」という単語です。

前歯の治療で ブリッジや差し歯を作るとき 保険治療ではほぼ100%がブラックマージンです。自費治療でもメタルを使用するパターンでは 必ず 歯肉付近に黒い染みのようなラインが浮かび どなたでもちょっと目を凝らせば「あの方は差し歯を入れているんだな」とすぐにわかります。かつては それでも そういうことにはあまり拘らない おおらかな時代が続いていましたが 最近の患者さんは けっこう この点に関心をもつ方が多くなっています。

ブラックラインは土台にメタルを用いたり、差し歯を作るときにメタルの土台を削った結果そのメタル粒子が歯肉に迷入して黒ずむこと(=メタルタトゥーといいます)、被せるものの中に入っている金属自身が光の遮光効果となり(=メタルシャドウといいます)視覚的に黒い影となって 付け根を黒く見えさせるラインを作り出すことなどが原因として挙げられます。

逆に ブラックラインが見えず 差し歯の色(シェード)と周囲の自分の歯の色とがマッチングすると 差し歯であっても まるで差し歯を入れていないように見えて 「まるで自分の歯が蘇ったみたい」 と皆さんおっしゃいます。

しかし そういう効果を生むためには いくつもの仕掛けが必要になります。差し歯を支える土台には、金属の強度に匹敵するような白い土台をしっかりと作らなければなりませんし、またモールドと言って 最終的な歯の形をどうするかは 私がワックスで術前に作っておいたプロビジョナル用の歯型に基づいた通りに支台歯形成を行って その通りに製作したプロビジョナルレストレーション(形態決定議論用の仮歯)を入れて予めお互いに確認をしなければなりません。またこれに並行して 歯の色をジルコニアセラミックに揃えるためにホワイトニングが必要になるケースも多くなると思います。

このように自然感ある きれいな歯を作り出すためには 私も患者さんもかなりな時間を必要とします。私もワックスアップという治療前の いわば「仕込み」作業では かなりな時間を使っています。ですから みなさんの目に見えない?ところで 成功する審美歯科は 歯科医師の努力が続けられていることをご承知おきください。

なんとなく歯を削って 型をとって あとは技工士任せ・・・なんていう仕事を歯医者はしてるんだろ!(たしかに そういう横着な輩は多いですけど)とお考えの方もおられるかもしれませんが その程度では 審美歯科は成立しないんです。

そして、こうした審美治療は 一般性がない パターンがないことから他の方といっしょに考えることはできず それぞれが ひとりひとりの オンリーワンの要望にきちんと応えるところから始まります。

ときどき 自費治療と保険治療の違いを 材質や担当者(技工士の匠技)の差と考える方もいますけど 保険治療では そうした細かい指示はないので 厚労省の定めた通りの治療法を行いますから 保険治療には審美治療のステップが全く存在しません。
そこで、それで満足できない方を対象にした 私の自費治療の場合は 今お話ししたように オンリーワンの要望を叶えるための最大限の努力を払い 最上級な結果を求めたいと思っています。

私にとって 保険と自費の差はそこにある と考えます。

・・・そうしてみると 仕込み膨大な時間を費やす自費治療はけっこう安く 何の仕込みもなくセンスもない保険治療はけっこう高い のではと 私は思います。

経年変化でも 保険のレジン前装は半年か1年で艶が吹っ飛びますし 飲食物によるステインでしばらくすると茶色く覆われるようになりますが 自費治療のセラミックなら何年たっても色の変化は起きません。

しかも 自費治療で用いる土台にはファイバーを使用して 咬合による歯自身のたわみにも追随できるよう配慮されていますので 中年以降でよく起こる歯根破折にも抵抗性があるため 保険治療よりも遥かに歯の破壊力に耐久性が強くなります。つまり 歯の寿命も非常に長くなるわけです。もちろん 最終的な 装着時にも 「保険治療の合着」 と 「自費治療の接着」 という処置法の違いも 歯の寿命に大きく影響します。

だから保険で歯を治すと 歯が駄目になる ということを言う歯科医師がいますけど 私も同感です。
posted by 達さん at 22:01| Comment(0) | Blog | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする